高周波熱凝固法について(橋本秀則先生のヘルシーコラム) プリント メール

高周波熱凝固法について

 

 今回は高周波熱凝固法について説明します。

 

 

 

 前号(9月26日号)の説明のように、腰痛の治療で最も多く行われるブロックが椎間(ついかん)関節ブロックです。椎間関節(以下、関節と略します)に構造的な変化がない場合は、このブロック(関節に局所麻酔薬を注入する)だけで楽になりますが、関節に変形を伴うと痛みは再発しやすくなります。これは変形により関節(図1)の痛みを中枢に伝える神経(図1のA)が過敏になるためです。

 
 高周波熱凝固はその過敏になった神経を治療するもので、低周波と高周波の2つの電気刺激を発生する装置と針先だけに電気が流れる専用の注射針(以下、針と略します)を使用します。

 
 ここで、痛みを伝える神経は関節によってほぼ決まった所を通るため、低周波を流した針で神経を探すことが可能です。つまり、針先が神経に当たっていなければ何も感じないか、感じても軽い電気刺激だけですが、神経に当たるといつもの腰痛が発生するからです。

 
 一方、高周波では低周波のように電気刺激を発生しませんが、その電気エネルギーで針先の温度が上昇します。この温度は高周波の出力を調整すれば自在にコントロールが可能です。特に針先の温度が60度を超えると神経には熱凝固が起こります。これは生卵に熱を加えるとゆで卵に変化するのと同様な現象のため、神経はその機能を停止します。つまり、針先に低周波を流して神経を探し、高周波による熱凝固で痛みを緩和する治療法が高周波熱凝固法です。

 
 実際の治療はレントゲンで見ながら行います。まず、局所麻酔した部位から針を腰椎の表面にまで挿入します(図1のB)。そこで低周波を流して針を神経に当てて少量の麻酔薬を注入します。高周波熱凝固では針先の温度を80度少々に保つため、治療中に伴う痛みを除くためにこの麻酔は必須です。高周波を流す時間は1カ所で約90秒ですが、たいていは複数の神経を治療するため平均的な治療時間は20分前後です。

 
 ところで、高周波熱凝固法では永久に痛みがなくなるように思えますが、熱凝固された神経は徐々に再生されるため、無理をすると1年前後で痛みが再発する場合も少なくありません。しかし、その場合はまた高周波熱凝固法を行えば問題は解決です。

 
 この治療では心臓にペースメーカーが入っている方を除き、血液をサラサラにするような特殊な薬を飲んでいる場合も安全に治療できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記事の問い合わせは、

TEL:084(923)3724 福山光南病院(広島県福山市光南町3-7-8)へ。

 

 

橋本秀則先生

 ■橋本秀則先生 プロフィル

 昭和54年岡山大学医学部を卒業。麻酔科に入局後、岡山大学医学部付属病院で助手・講師を務め、平成5年に「福山光南病院」の院長となり、ペインクリニックを担当しています。

http://www.painclinic.jp/

 


提供:福山リビング新聞社
(「リビングふくやま」2009年10月24日号掲載)