「帯状疱疹後神経痛」を残さない (橋本秀則先生のヘルシーコラム) プリント メール

帯状疱疹の治療では「帯状疱疹後神経痛」を残さないことが重要です

 今回から「帯状疱疹(ほうしん)」の治療法を説明します。
 前回(平成19年1月27日号)で説明したように、帯状疱疹は水疱(すいほう)の下の神経の病気ですから、神経痛を残さないことに治療の主眼が置かれます。
 

 帯状疱疹では、ウイルスの活動によって知覚神経が傷害され、同時に近くの神経や皮膚に炎症が起こるために強い神経痛が発生します。それが「帯状疱疹性神経痛」(急性帯状疱疹痛とも言います)ですが、皮膚の水疱が枯れるころには周辺の炎症が治まって痛みは和らぎます。ところが、発症から1カ月を経過しても痛みが続く場合があり、これが「帯状疱疹後神経痛」です。

 

 発生機序はいまだ明確にされていませんが、抗うつ薬やけいれんを抑える薬、あるいは不整脈の薬などに鎮痛効果が認められます。このことから、ショートした電線から火花が散る(自然発火と言います)ような現象が神経に起こること、知覚神経が傷害されて中枢への痛みの伝わり方に異常が起こることなどが想定されています。

 

 いずれにしても、帯状疱疹後神経痛では多彩な痛みが持続して、いかなる治療を行っても短期間で痛みを緩和することは不可能です。そのため医師から、「水疱は治っているので、後は痛みとうまく付き合う以外に治療法はありません」と宣告されることも少なくありません。

 

 従って、転ばぬ先の杖(つえ)ではありませんが、高齢者や免疫力の低下している方、最初から神経痛(帯状疱疹性神経痛)が強い場合や、おでこの上の三叉(さんさ)神経の帯状疱疹では帯状疱疹後神経痛になりやすいため、最初からそれ相応の治療が必要です。
 

 さて、帯状疱疹(性神経痛)の治療では、抗ウイルス薬が第一選択となります。ただし、この薬はウイルスの増殖を抑えることで効果を発揮するため、水疱が出てから3日以内に治療を開始することが必要です。
 

 しかし、実際はそれより少しは遅れますが、できるだけ早期に治療を開始すれば、水疱の広がりが抑えられて神経痛の持続期間が短縮されます。いずれにしても、この抗ウイルス薬が開発されて帯状疱疹後神経痛になる症例が大幅に減少しました。
 

 たいていの方は、子供のころに水痘(すいとう・〝水ぼうそう〟のこと)を経験するため、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。従って、運悪く帯状疱疹になっても、帯状疱疹後神経痛を残さないための対応策は知っておくべきでしょう。
 

 次回は、「帯状疱疹後神経痛の治療法」について説明する予定です。
 

 
このコラムは「福山光南病院」院長の橋本秀則先生に執筆していただき、月に1回掲載しています。
 記事の問い合わせは、TEL:084(923)3724 福山光南病院(広島県福山市光南町3-7-8)へ。
 

 

橋本秀則先生

 ■橋本秀則先生 プロフィル

 昭和54年岡山大学医学部を卒業。麻酔科に入局後、岡山大学医学部付属病院で助手・講師を務め、平成5年に「福山光南病院」の院長となり、ペインクリニックを担当しています。

http://www.painclinic.jp/

 


提供:福山リビング新聞社
(「リビングふくやま」2007年2月24日号掲載)