体験談(5)突然『透析』を宣告された (ハートフル相談17) プリント メール

vol.17

体験談(5)突然『透析』を宣告された~腹膜透析から血液透析へ

 腎臓の病気の知識や情報について「福徳永会・さいきじんクリニック」の院長・齊木豊徳(さいきとよのり)先生に聞くこのコーナー。今回は、「体験談(5)突然『透析』を宣告された~腹膜透析から血液透析へ」です。

 

 今回は、突然透析を告げられて、腹膜透析から血液透析へ治療法を選択した患者さんのお話をしましょう。
 40歳の男性で会社員。28歳の時、体調不良により、近くの病院で受診すると、末期の腎不全と診断され、入院。透析療法の導入を控えた保存期治療中に、「透析」には腹膜透析と血液透析があることを初めて知り、実際に両方の治療を見学されました。

 
 2年後に腹膜透析を導入。5年後、尿量の減少、腹膜機能の低下により、再度悩んだ末、医師のアドバイスもあり、血液透析に移行…。今年で透析歴10年、現在も元気に働きながら血液透析を続けられています。

 

 患者さん一人ひとり、透析に至るまでの過程はさまざまです。元来健康体であったのに、突然透析治療の必要性を宣告されることは、患者さん本人や家族にとって、大きなショックだったのではないでしょうか。

 「なぜ、どうして、自分だけが…」と病気を否定するものの、病状の進行と症状が次第に現れ、事実を知れば知るほど恐怖や不安にさいなまれるでしょう。透析導入前後は、身も心も一番不安定な時期と言えます。

 先ほどの患者さんが、悩みながらもスムーズに透析を導入・移行できた点は2つあります。
 

 1つは、腎不全保存期に、透析療法選択のための情報を自ら収集していたことです。

 入院中、自身で腎臓の仕組みや検査データ、食事療法を学習したこと。実際に、腹膜透析と血液透析の治療見学や、実際に透析を受けている患者さんと直接話をして、保険など経済的なことや不安なことなど、自身の知りたいことを率直に聞き、ずいぶんと気持ちが楽になったようです。
 患者さんに直接話を聞くことは、われわれ医療従事者にはできない説得力があると思います。

 
 2つ目は、単純に腹膜透析と血液透析のどちらかを選ぶのではなく、自身の体調や日常生活を考えて選択していることです。

 腹膜透析は脳・心臓に疾患のある方に適していることはこれまでにもご紹介しましたが、この患者さんは在宅療法のため、社会復帰がしやすい最大の利点を優先して選択されました。その後、腹膜機能の低下に伴い、血液透析になりましたが、「元気に働く」ことを目標に、今も活躍されています。

 
 当院では、慢性腎不全の治療として、腎移植も含めた治療法の選択を、患者さんの生活に合わせて考えるようにしています。腎臓病の治療には、医療側で行う技術と同様に、食事や運動など患者さんの自己管理が大変重要になってくるからです。

 
 次回は、「体験談(6)女子中学生が透析になったその時、心の動きから学んだこと」をテーマにお話し致します。

 

この記事に関する問い合わせなどは、

同クリニック・腎臓病教室事務局の浜岡さんへ。

 所在地 〒720-0838 広島県福山市瀬戸町山北450-1
 電話  084(949)2777
 
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■齊木豊徳(さいきとよのり)先生

福徳永会・さいきじんクリニック.の院長
http://www.saiki-cl.com


提供:福山リビング新聞社
(「リビングふくやま」2006年7月1日号掲載)