体験談(6)腎臓が悪くなっても水分は取るべき? (ハートフル相談18) プリント メール

vol.18

体験談(6)腎臓が悪くなっても水分は取るべき?

 腎臓の病気の知識や情報について「福徳永会・さいきじんクリニック」院長・齊木豊徳(さいきとよのり)先生に聞くこのコーナー。今回は、腎臓を患う方から寄せられた「腎臓が悪くなっても水分は取るべき?」という質問をもとにお話ししていただきます。

 

   

 私は腎臓が悪く、定期的に病院にかかっています。先日、主治医に「水分をたくさん取るように」と言われました。私はまだ尿は出ていますが、腎臓が悪いと尿が出なくなるということは知っています。水分をたくさん取っても大丈夫でしょうか。(福山市・M)

 おそらくMさんは、慢性腎不全の透析前の状態(慢性腎不全保存期)にあり、何らかのきっかけで腎臓の機能が一時的に悪くなったのだと思われます。

 
 腎臓の悪い患者さんは特に風邪などの感染には要注意です。熱が出たりすると、体が脱水傾向になります。脱水になると血液の循環量も減り、必然的に腎臓へ送られる血液の量も減り、腎臓の機能が悪化します。人間の体の60%は水分ですので、水分が減ると体はうまく機能しません。腎臓も機能が悪くなるため、尿の出が悪くなり、クレアチニンという腎臓機能の指標となる検査の値が上昇します。

 
 Mさんが心配されている「腎臓が悪い=尿が出ない=水分を取ってはいけない」という考え方は、心不全が絡んでいる場合などで、心臓が悪く、心臓のポンプ機能が衰えている場合には水分の制限が必要になります。

 

 腎機能が悪くなり、透析治療が必要になれば水分の制限も必要となりますが、腎不全保存期で、心臓の機能が正常な場合は、基本的には水分の制限をせず、むしろたくさんの水分を取り、尿をたくさん出すことで体を清浄化させることが大切です。温泉に例えると、どんどんお湯があふれ出すことで、湯船のお湯はいつもきれいな状態が保たれるのと同じこと。腎臓の機能も「入る」と「出る」のバランスで保たれているのです。

 

 「出る」というのは尿量を見ることが大切で、例えば一日に1500mlの尿が出ているのであれば、「入る」も1500ml以上の水分が必要。このバランスが保たれなくなると体は脱水になるのです。逆に、水分を取り、尿量が減るような場合は体がむくむなどの症状が出ます。そのような場合には、必要に応じて利尿剤などの治療を行うこともあります。
 

 このように、「入る・出る」のバランスを保ちながら脱水にならないよう、水分を取ることは大切です。しかし、多くの方が「お酒・ビールも水分だ」と勘違いしがち。アルコール、特にビールには利尿作用があるため、尿量が多くなり、出る量が多くなって脱水になります。「水分を多く取りましょう」と言われたら、水や、スポーツ飲料のような電解質成分が入った物を取ることをお勧めします。「これは飲んでもいいかな」と疑問や不安がある方は、かかりつけの病院で医師や看護師に尋ねてみられるのがいいと思います。
 

 次回は、「体験談(7)女子中学生が透析になったその時、心の動きから学んだこと」をテーマにお話し致します。

 

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■齊木豊徳(さいきとよのり)先生

福徳永会・さいきじんクリニック」の院長


提供:福山リビング新聞社
(「リビングふくやま」2006年11月4日号掲載)