頚椎由来の首や肩・肩甲骨の痛み (橋本秀則先生のヘルシーコラム) プリント メール

頚椎由来の首や肩・肩甲骨の痛み

 今回は、頚椎(けいつい)由来の首や肩・肩甲骨の痛みについて説明します。同じ痛みでも、前号(平成19年10月27日号)で説明した筋肉痛であれば、〝凝り〟や押さえると周囲に響くような部位(トリガーポイント)が認められます。また、治療では消炎鎮痛薬の内服や外用あるいは理学療法が効果的で、痛みが頑固であればトリガーポイント注射も適応です。しかし、筋肉痛と思っていてもなかなか治らないケースが出てきます。

 

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 「普段から肩凝りに悩まされていました。今回は肩から肩甲骨の内側にかけて(図2の③④⑤⑥)、おもりが入っているような痛みが続きます。これまで半年以上、いろいろな治療を試しましたが一向に楽になりません」─。

 
 この方は50歳代の女性ですが、痛む部位に凝りを触れ、同時にトリガーポイントも認められました。確かに症状から肩凝りが疑えます。そこで、頚椎のレントゲンを撮ってみると、年齢相応の変形が認められ、特に第5と第6頚椎の変形が目立ちました。

 
 図1のように、頚椎は7個の椎骨が縦に並んだもので、前方が椎間板で、後方は左右の椎間関節でつながります。この関節の痛みが「椎間関節症」ですが、原因となる関節と症状には図2のように良好な相関関係が認められます。

 
 ここで図2の①2/3は、第2と第3頚椎の間の椎間関節症では①に痛みが発生しやすいことを示します。これらの症状は片側に起こりますが、まれに両側性の場合も認められます。

 
 この症例では、第5と第6頚椎が変形しているため、4/5、5/6、6/7の椎間関節症が起こりやすく、図2の③④⑤に痛みを生じる傾向がうかがえます。これは、実際の症状がほぼ一致することになります。また、⑥は頚椎から胸椎の移行部の椎間関節症で起こりますが、頚椎が傷んでいる場合に合併しやすいのが特徴です。

 
 以上より、この症例は椎間関節症が濃厚となりました。

 
 そこで、レントゲンで見ながら原因と考えられる椎間関節に局所麻酔薬を注射しました。これが「椎間関節ブロック」ですが、関節に薬を注入する際に図2の関係と同様の痛みが再現できます。この症例では③④⑤⑥のすべてに再現痛が得られ、その直後から鈍痛は消失して、翌日には凝りまでなくなりました。このように一見して肩凝りのようでも、頚椎の椎間関節症であることも多いわけです。

 
 次回は、「坐骨(ざこつ)神経痛」について説明する予定です。

 

 

記事の問い合わせは、

TEL:084(923)3724 福山光南病院(広島県福山市光南町3-7-8)へ。

 

 

橋本秀則先生

 ■橋本秀則先生 プロフィル

 昭和54年岡山大学医学部を卒業。麻酔科に入局後、岡山大学医学部付属病院で助手・講師を務め、平成5年に「福山光南病院」の院長となり、ペインクリニックを担当しています。

http://www.painclinic.jp/

 


提供:福山リビング新聞社
(「リビングふくやま」2008年2月23日号掲載)