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<特集記事>「気になるこどもの言葉遣い」本当の思いくみとって プリント メール

 

イラスト/銀杏早苗

 

 最近のこどもの言葉遣いが気になる人も多いのでは─。山陽路のリビング新聞グループ(広島・東広島・福山・岡山・倉敷)では、ホームページ「LICO」で「気になるこどもの言葉」を募集。286通の回答が寄せられました。その中からいくつかのケースについて、町博光さん(広島大学大学院日本語教育学講座教授)と、平沼博将さん(大阪電気通信大学専任講師・福山市立女子短期大学保育科非常勤講師)にお話を伺いました。

町博光さん

平沼博将さん


最も多かったのは
「うざい」「きもい」「ビミョー」「やばい」「ワケ分からん」
などの、言い切り言葉

「うざい、きもいという言葉を使うのが気になる」(9歳女児の母)

 

親の言葉の影響も

 かつて女子高生たちが使っていた「うざい」「きもい」「ビミョー」などを使う子が増えているようですね。そういう言葉を使っていた世代が親になってきているため、親から学んでいるケースもあるのかもしれません。
 人の思いや感情は、ひと言で表現できるほど単純なものではありません。実際には複雑な思いや感情があるにもかかわらず、ひと言で片付けてしまうことで、自分の思いや感情まで単純なものにしている場合もあるでしょう。親としては、言葉遣いそのものよりも、「うざい」「きもい」という言葉を使ってこどもが本当に表現したい思いをくみとることが大切です。「うざいって何!」と詰問するのではなく、「へえ、そういうのをうざいって言うんだ」「うざいのはどんなとき?」「どんなところがきもいの」と、親子で話すきっかけにしては。

場面にふさわしい言葉遣いができるように注意

 「うざい」「ワケ分からん」など、会話を途切れさせる一方的な言葉には腹も立つでしょう。でも、それらの言葉は、自分たちの世代の共感を得るための大切なコミュニケーションツールです。こどもの言葉遣いにいちいち腹を立てるのではなく、むしろ、自然な成長過程をたどっているんだという思いで眺めてください。
 その上で、タイミングを選んで「“うざい”というような言葉は、友達同士の間で使う言葉で、目上の人や先輩に使うのは良くないよ」と、場面にふさわしい言葉遣いをするように注意するといいでしょう。


 

流行語「そんなのカンケーねぇ」「どんだけ~」

「まじめな話をしていても、“そんなのカンケーねぇ”と茶化してしまう。“冗談を言っていいときと悪いときがある”と注意するけれど…」(10歳男児の母)

 

基本的には、放っておいてOK

 流行語を使う場面として、単に「テレビを見ているとき」「何かにつけて」という場合は、基本的には「飽きるまで放っておく」という対応で良いと思いますよ。
 「親の気を引きたい時」「親がまじめな話をしている時」「注意された時やしかられている時」など、今の状況を変えたい時に使っている場合は、「構ってほしい」「一緒に遊んでほしい」「もうしからないで」というサインかもしれません。〝最近、ゆっくり相手していなかったかな〟と自身を振り返って、お子さんと話す時間や遊ぶ時間をつくってみては。


 

「知らんし~、分からんし~」
その「し」は何?

「会話の最後に、どんなときでも“し”を付けます」(10歳男児の母)

 

言い切りをためらう気持ちの表れ

 「分からんし」の「し」は、最近のはやり言葉です。「し」は念押しと強調効果を狙った表現でしょうが、同時に言い切りをためらう気持ちも表しています。例えば電話に出て、「はい、○○ですが」と言う時の「が」と同じ機能で、日本語の特徴の一つです。


 

方言がきつい

「“どしたんねぇ”“ほいじゃーのぉ”と広島弁がひどい。標準語で訂正しています」(3歳女児の母)

 

方言は地域の一員の証しです

 方言は地域に定着した生活の言葉です。方言が話せるということは地域社会の一員の証し。方言が悪いのではなく、使う場所、場面を選択することが重要です。そのあたりの意識は、もう少し年齢が上がると自然と身に付いてくるものですよ。


 

サ行がタ行に

「サ行が上手に言えず、タ行になってしまいます。こどもの正面に立って何度も発音して見せています」(3歳女児の母)

 

個人差が大きいので、気にし過ぎると逆効果になることもあります

 私のおいも小学校に上がる直前まで自分の名前「そうた」が「とうた」になっていました。構音(音をつくること)に関しては個人差が大きく、2歳でも「さしすせそ」をきれいに発音できる子もいますが、発達的には、例えばカ行やハ行は4歳代、サ行やザ行は5歳代といわれています。
 指摘されると、不安を感じて話さなくなったり、チック症状が出たりすることもあります。口の筋肉や舌の動きなど、発達面の条件が整ってから上手に発音できるようになることを知っておいてください。


 

3歳で「オレ」

「女の子なのに、“オレ”。しかも“オ”にアクセント。お兄ちゃんがいるから仕方ないの?」(3歳女児の母)

 

自己主張や、友達関係を確認し合う「オレ」

 男の子は、3歳くらいから自分のことを言うとき、「ボク」「オレ」を使い始めます。「オレ」には、自己主張や友達関係を確認し合う機能があります。ですから友達関係が広がっていくにつれて使用頻度も増えます。
 女の子が「オレ」を使うケースは、男の子が使う「オレ」への一種のあこがれや、仲間関係を確認し合う道具なのかもしれませんね。
 「オレ」の「オ」にアクセントを置く原因(発信源)はよく分かりませんが、こどもは新奇なものが大好きですから、どこかで聞いた「オレ」のイントネーションや響きが面白くて、まねして使っているのではないのでしょうか。

 
※町先生によると、「オ」にアクセントのある「オレ」は、備後地域独自のアクセント変化だそうです。



提供:広島リビング新聞社
(「リビングふくやま」2008年2月9日号掲載)