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卒業、入学、就職…。旅立ちのシーズン「心に残るあのひと言」 プリント メール

 

 スタートの季節。山陽路のリビング新聞グループ(広島・東広島・福山・岡山・倉敷)では、ホームページ「LICO」で、卒業や就職など、新たな旅立ちのときに掛けてもらった「心に残るひと言」を募集。138通の回答が寄せられました。その中から、多くの人が挙げていた「卒業・進学」「就職で故郷を離れる」「結婚」シーンでの言葉を紹介します。

写真/伝美demi

 


 

卒業の日、先生から

『失敗を恐れるな。前進あるのみ。
たとえ失敗しても、それをバネに頑張ればいい』

 何事にも、まずチャレンジしてみようとい う気持ちになった。そして、やるからには失敗しないよう、慎重に行動した。(56歳・男性)

 

大学入学で、初めて親元から遠く離れて一人暮らしをするとき、
駅のホームまで見送りにきてくれた両親から

『しんどくなったら帰っておいで。待ってるから』

 最後に帰れる場所があるという安心感が、4年間の寂しさ、つらさを乗り越えられる力になりました。頑張れ、頑張れと言われていたら、逃げ場がなくて自分に負けていたかもしれません。(37歳・女性)

 

短大卒業前、最後の授業で先生から

『あなたの優しい笑顔を忘れずに』

 自分にはとりえがないと思っていたけど、社会人になっても、〝笑顔だけは忘れず〟と頑張りました。(29歳・女性)

 

中学の卒業式のとき、母や先生から

『よく頑張ったね』

 不登校で、人間関係がうまくできなくなり、高校に行くのがとてもつらかった。母や先生に褒められ、頑張ったということが認めてもらえた、ちゃんと見ていてくれたんだと自信になりました。(20歳・女性)

 

高校をやめるとき、先生から

『人生のピークはまだ先にある』

 大学受験、いじめ、親の離婚などで悩んで、必死に生きてもつまらないと思っていたときに掛けてもらった言葉です。今は成人し、二児の母です。いろいろ壁にぶち当たる事がありますが、「人生とはその時その時を乗り越えていくこと。人生のピークはこんなものじゃない」とちょっとだけ強くなれます。(23歳・女性)

 


 

広島の短大を卒業し(実家は福山)、
親に相談もなく広島での就職を決めたとき、母から

『自分で決めたことは責任を持って頑張るんよ。
つらいことがあっても、泣いたりせず我慢せんといけんよ。強くなりなさい』

 社会人になる責任の重さを教えてくれた言葉です。末っ子で甘えん坊の私を、後押ししてくれました。今は亡き母ですが、この言葉は社会人になって14年たつ今でも胸に響いています。この言葉があったから頑張ってこられたのかもしれません(34歳・女性)

 

昭和42年3月、九州から就職で倉敷に来るとき、父から

『3年間は頑張って辛抱しろよ』

 仕事は大変ですが、何とかあと1年で定年を迎えるまで辛抱することができました。(59歳・男性)

 

隣県で初めて一人暮らしを始めた日、手伝いに来てくれた母が帰るとき玄関で

『体に気を付けて』

 いつも忙しく働いていた母親。一緒に買い物に行ったこともなければ、優しい言葉を掛けられた記憶もありませんでした。反抗してばかりだった私。そのとき初めて母のありがたさや優しさがこみ上げ、涙が出てしまいました。(34歳・女性)

 


 

結婚するときに母から

『大丈夫だからね』

 不安になることがあっても、きっと大丈夫と、前を向いて歩いていけます。(28歳・女性)

 

披露宴で双子の妹から

『そんなに頑張らずに、自分なりでいいんだからね』

 結婚5カ月後には出産。慣れない環境でくじけそうになったときに支えられました。今も育児や夫婦げんかした時など、助けられています。(26歳・女性)

 

結婚式の数日前、両親から

『もう○○家の子になるんじゃけえ、頑張りんさいね』

 結婚して子供にも恵まれ、日々の生活に追われる現在。時には、子育てに行き詰まり、自分の親に甘えたくなるときもありますが、弱音を見せたくない部分があり、この言葉をふと思い出すと、自然と頑張ろう!と思います。(33歳・女性)

  


 

築いてきた関係から、心に残る言葉が生まれる

作家で、尾道大学芸術文化学部准教授の光原百合さん

 

 飾り気のない言葉であっても、掛ける側と受け取る側が築き上げてきた関係の中から自然に生まれたものは、心に深く刻まれます。
 「頑張れ」と、力強く後押ししてくれる言葉、「頑張らなくてもいいよ」と、安心感を与えて優しく包んでくれる言葉─。相反するものですが、「頑張れと言ってもらえたから頑張れた」「あのとき頑張れと言われていても、それ以上は頑張れなかった。頑張らなくてもいいよと言われて救われた」と、立場や状況によって響き方が違います。だから、掛ける言葉に正解はないと思いますよ。
 私が大学を卒業するとき、恩師に「未来が過去をつくる」という言葉を頂きました。起こった事実は変わらないけれど、これから何をするか、これからどう生きるかによって、過去の持つ意味合いはいくらでも変わってくる、という意味です。機会あるごとに思い出し、大切にしてきました。
 誰かに言われてうれしかった言葉、大切にしている言葉を贈るのもいいのではないでしょうか。

 

■光原百合(みつはら・ゆり)

 英米文学者、小説家。尾道大学芸術文化学部准教授。 広島県尾道市生まれ。大阪大学文学部・同大学院で英文学を専攻し、1998年、小説「時計を忘れて森へいこう」を発表。2002年、「十八の夏」で第55回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。



提供:広島リビング新聞社
(「リビングひろしま」2008年3月8日号掲載)