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愉遊自適1/29号 認知症Q&A プリント メール

 

物忘れから始まる“認知症
読者からのQ&A

1月29日号のつづき(掲載されていない世帯はネットリビング新聞をご覧ください)


高齢社会の今、
決して他人事とは思えない「認知症」について、
福山市医師会の
佐藤昇樹(しょうじゅ)さん(脳外科・写真)に
お話を聞きました。

 

 
 
家族や身近な人が認知症になった場合、
どう対応すればいいのでしょうか。(49歳)
 認知症は脳の病気であることを理解して、受容することが第一歩です。受け入れられないと、しかる、怒る、なじる、注意するといった感情的な対応をし、患者さんの精神状態は不安定になり、認知症状が悪化することもあります。まず事実として受け入れなくては、前に進めません。
 
 次には、患者さんの生活環境を可能な限り整備することです。認知症は、100%自分でできていたことが少しずつできなくなる病気です。料理や洗濯、運転、買い物など一人でできていたことが、病気の進行に従って、90%、80%、70%…と、できることが少なくなり、そのできなくなった10%、20%、30%…を家族や周囲の人が手助けしないと、患者さんは日常生活を遂行できないのです。 
 例えば、料理は作れても献立を考えることができなくなった患者さんには、家族が献立を考え、必要な材料を紙に書いて渡します。そうすれば、買い物に行って、料理を作ることもでき、患者さんは認知症のない人と同様に、家庭生活や社会生活を送ることができます。
 
 認知症の介護は終生続くものです。完ぺきな介護を目指すと、介護者は短期間で燃え尽き症候群に陥る可能性があります。無理せず、患者さんにとって、今の状況よりも少しでもいい環境がつくれるような介護を。ベストの介護より、ベターな介護を目指すようにしましょう。

94歳の祖父。
徘徊(はいかい)を止める方法はありますか。(36歳)

 徘徊は、記憶障害、見当識障害、不安症状、判断力の低下など、多くの要因が組み合わさって出現する行動障害です。例えばタバコを買いに出掛けた場合を考えてみると、患者さんは、タバコを買う目的を持って外出。しばらくすると記憶障害のために、どうして外出したのか分からなくなります。
 判断力が低下しているので、誰かに道を聞くこともできず、あちこち歩き回ります。発見されても、記憶障害のために出掛けた目的を伝えることができず、周囲の人からは目的もなく歩いた、徘徊とみなされてしまうのです。
 
 対策としては、日中、患者さんを一人にさせない、デイサービスなどを利用し、多くの人がかかわれる環境をつくる、衣服に名前や電話番号が記載された名札を付けておく、などが挙げられます。


同じことを繰り返し話すとき、どう対処すれば?(33歳)
 患者さんは、忘れる病気なのです。仮に患者さんが同じ質問を10回し、家族の方が10回答えたとします。患者さんが11回目の質問をすると、家族の方にとっては11回目の質問であっても、患者さんにとっては1回目の質問なのです。初めて質問したと思っていることに、「何回も同じことを聞いて」「いい加減にしろ」と言われたら、患者さんは「初めて質問したのに」「自分を邪魔者扱いする」と考えるようになります。イライラして暴力を振るったり、隣人に家族の悪口を言いふらしたり、という行動が現れます。患者さんの世界を推測して対応することが大切ですね。

親の自尊心を損ねず、
認知症の検査を受けさせる方法はありますか。(43歳)
 患者さんが最も信頼している家族や知人が、検査を勧めてみてはいかがでしょうか。子供や嫁の勧めは嫌がっても、孫の勧めなら素直に従うというケースもあります。
 また、受診の理由として、「高齢になったから一度健康診断を受けましょう」と言ってみてはいかがでしょうか(ただし病院には、認知症の検査のために来たことを伝えておく必要があります)。


 

“脳が喜ぶ生活”を
 アルツハイマー病は、病状の進行を遅らせることを目的にした薬はありますが、現在の医学では認知症の根治的な治療法は見つかっていません。
 しかし、脳は一気にすべてが壊れるのではなく、だんだんと障害されていくので、残っている正常な脳細胞をしっかり働かせれば、社会生活が維持できる期間を長くすることもできます。 
 脳細胞を働かせるには、日ごろから“脳が喜ぶ生活”をしておくことが大切です。五感にいい刺激を与え、運動で血流を上げ、日記や手紙を書いたり、集中して物事に取り組んだり─と、脳を使う生活で、脳細胞を強化しておきましょう。年齢を重ねても新しいものにチャレンジする気持ちや、好奇心を失わず生き生きと生活することも、“脳が喜ぶ生活”です。


提供:広島リビング新聞社
(「リビングひろしま 「愉遊自適」2011年1月29日号掲載)